Apple Music/iTunesで配信開始の『Eclectic』は、
「ビート」という技術を試してみた、2002年のアルバムです。

「ビート」という言葉を、僕は2000年頃のNYシティで聞くようになりました。
「あのビートはアツい」「今ビート作ってる」。
その「ビート」は、日本語で「トラック」とも言うと思います。
8小節位のループで、ドラムがあって、
その上で音が入ったり消えたりする、例のあれです。
 街じゅうで鳴っていたあの音楽様式への関心から、
『Eclectic』は生まれました。
だから何よりも音楽技術的で、
それ以前の『LIFE』とか最近の『流動体について』とかとは、出自が違います。

『Eclectic』の頃、歌詞についても気がつくことがありました。
それは、ブラックミュージック、特にソウル・R&Bの場合、
歌詞を意図的に軽く、薄くしていることが多い、ということです。
 これは社会的にも、音楽的にも、
よく考えたら当たり前のことなのに、盲点だったりします。
ともあれ『Eclectic』の歌詞は、僕の他の歌詞に比べると意図的に薄くて、
軽くて、ぼんやりしていて、シンプルなリフレインが多いと思います。
 だから、最近の『フクロウの声が聞こえる』とか
『アルペジオ』みたいな音楽とは対極にあるのかもしれませんが、
でも、やっぱり『Eclectic』への探求がなかったら、
僕の最近のやつはないのです。
 静かな夜に、聴いてみてください。

Tokyo, Music & Us #3

 第3回は最上級の歌とダンスが眩しい三浦大知くんと、銀座4丁目からです。
 ショーウインドーの中で演奏しているので、音は外に全く聞こえない中、
収録を見守ってくださった多くのみなさん、ありがとうございました。
 大知くんはとてもかしこく、鋭くて、
対話でも演奏でも、気持ち良いの一言でした。
今回は彼の声で聞きたい曲を僕が2曲選んでお願いしたのですが、
大人っぽくも茶目っ気のある音に仕上がったと思います。
 ギターは子ども用のミニ・ストラトを弾きました。
リズムボックスは1994年から使っているローランドの名機TR-808の実機を、
なんとFunkboxという携帯アプリで動かしています。
 これができるのは、ヤマハの小さなBluetooth MIDIドングルで
iPhoneからMIDI信号を808に送っているからで、
レトロ複製のお手軽アプリが本物を動かしている、意外性が好きです。
 番組をよく見ると、
808からの音を僕がペダルでオン・オフしている様子もわかると思います。
 Apple Musicにて、お楽しみください。
(あ、ストリーミングは音楽ファンにとって辞書みたいなもので、
持ってると便利です、よ。)

2018年、東京
小沢健二

Official 魔法的字幕、公開しています。

hihumiyo.net へ